事業譲渡とは
「事業譲渡」は、譲渡会社(譲渡を行う会社)の営業の全部または一部を、別の会社(譲受会社)に譲渡する手段のことをいいます。
譲渡を受けるには対価が必要となり、会社を資本で分ける場合は「会社分割」、事業で分ける場合は「事業譲渡」となります。
会社分割と異なり、事業を一括して譲渡できません。不動産は移転登記をし、従業員の転籍は個別の同意が必要となります。債務については各債権者の承諾を得るなど、権利義務についての移転手続きも必要となります。
手続は複雑ですが、会社分割とは異なり簿外債務を引き継ぐリスクは少なく、1つの事業だけを切り離したい場合などには有効な手段となります。
事業譲渡の手続きと留意点
子会社などを設立するときは別として、譲渡会社・譲受会社それぞれの会社を調査します。帳簿には表れない資産や債務などの調査が必要です。また、譲渡する資産の価値は無体物であるため、正当に評価し譲渡財産の範囲を特定することが必要です。
事業譲渡は会社合併とは異なり登記などの必要はありません。
手続きの流れは以下の通りです。
- 譲受会社(買い手)と譲渡会社(売り手)が譲渡価格などの条件について合意
- 取締役会で決議する(事業の全部または重要な一部の譲渡の場合)
- 株主総会で特別決議する(譲渡資産帳簿価格が総資産額の5分の1以上の場合)
- 譲受会社(買い手)と譲渡会社(売り手)が譲渡契約を締結する
- 契約、資産、負債の移転手続きを行う
建設業許可の取扱い
譲渡会社(売り手)の取得している建設業許可は、譲受会社(買い手)には承継されません。
譲受会社は、譲渡会社が取得していた業種の許可等を新たに取得する必要があります。
譲渡にともなう許可申請の場合、譲受会社が許可の要件を満たし許可申請をしたときは、譲渡会社が取得している同じ業種の許可の取消の前でも、譲受会社は許可を取得することができます。
なお、平成21年6月産活法改正により、「中小企業承継事業再生計画」に基づく「事業譲渡」では、「会社合併」「会社分割」と同様に、建設業許可などを承継することができますので、事案ごとに申請窓口には必ず確認しておきましょう。