経営事項審査評点アップの方法
1.完成工事高(X1)
完成工事高のウエイトは下がったものの、完成工事高がより多ければ評点に直接影響し、評点アップの最も近道ともいえます。
評点アップ方法として、期末未成工事の評価方法を工事完成基準から工事進行基準に変えることで完成工事高をより多くすることができます。しかし、完成工事高が多くなると、それに伴って経営状況評点や自己資本額・職員数評点がダウンしてしまうこともありますので注意が必要です。
「完成工事高」の評点アップ対策
- 利益率に重点を置いた優良な工事を受注する。
- 未完成の請負工事であっても工事の出来高に応じて完成工事高を計上できる工事進行基準を採用することで、完成工事高を増加させる。
- とび・土工工事の数字を土木一式工事の完成工事高へ積み上げるなど、審査を受けない関連業種の完成工事高を積み上げて申請することにより評点を上げる。
2.自己資本額および平均利益額(X2)
自己資本額と平均利益額の絶対額によって評点が決まります。自己資本額と平均利益額が多くなれば評点アップにつながります。完成工事高が分母にくるため、それに対する分子の自己資本額・職員数が多くなればアップにつながります。
「自己資本額および平均利益額」の評点アップ対策
- 利益計上をして繰延利益を増加させることで、自己資本を充実させる。
- 極力設備投資をする。
3.技術職員数および元請完成工事高(Z)
上級の資格を持った技術職員数をより多くすること、元請工事の受注を増やすことが直接評点アップにつながります。
「技術職員数および元請完成工事高」の評点アップ対策
- 上級の資格を取得する。
- 監理技術者講習・基幹技術者講習を受講する。
- 元請工事の受注を増やし、マネジメント能力を高める。
4.その他の審査項目(W)
- 雇用保険、社会保険・厚生年金保険の未加入がないようにする。
- 建設業退職共済、退職一時金・企業年金制度に加入する。
- 法定外労働災害補償制度に加入する。
- 公認会計士・税理士・建設業経理事務士などの有資格者を社内に確保する。
5.経営状況評点(Y)
経営状況評点は、「負債抵抗力」「収益性・効率性」「財務健全」「絶対的力量」について、それぞれ合計8指標から算出されます。
実際は財務内容の改善が主な内容になり、言葉通りには簡単に改善できない内容が多い項目ですので、数年計画で徐々に改善していく方法が賢明といえます。
- 支払利息、流動・固定負債を軽減させる。
- 受取手形割引料を軽減させる。
- 売上原価の割合を下げるなど、売上総利益を増加させる。
- 販売費及び一般管理費や営業外費用を軽減させ、経常利益を増加させる。
- 自己資本を増やし充実させる。
- 利益剰余金を増額させる。