財務諸表作成の注意点
貸借対照表(建設業が主たる業務である会社の税務申告書)
(1)「売掛金」として計上されている金額があるとき
建設工事の「完成工事未収入金」であると推測できます。
しかし内容を調べてみたら、発注者の事情で工事の中断が多く、工期が延長されたため、1年を超える長期間にわたって入金がなかった金額であるときは、「投資その他の資産」の長期補償金等1年を超える債権に該当するので、「その他」に計上します。
さらに、その金額が投資その他の資産の金額の10分の1より大きい場合は「長期滞留債権」等の科目名で投資その他の資産の中に別立で計上する必要があります。
(2)「仕掛品」として計上されている金額があるとき
建設工事の「未成工事支出金」であると推測されます。
しかし内容を調べてみたら、発注者の事情で工事の中断が多く、工期が延長されたために1年を超える長期間にわたって未請求となっている金額であったときは、「投資その他の資産」の「その他」に該当します。
さらに、その金額が投資その他の資産の金額の10分の1より大きい場合は「長期滞留債権」等の科目名で投資その他の資産の中に別立で計上する必要があります。
(3)「仮払金」として計上されている金額があるとき
建設工事の「仮払金」であると推測されます。
しかし内容を調べてみたら、決算期末における未収の法人税等の還付額であった場合は、流動資産に「未収還付法人税等」の科目名にて別立で計上します。
また、内容を調べてみたら、外注業者に前払いした金額であったときは、流動資産の「未成工事支出金に計上します。」
(4)「未払金」として計上されている金額があるとき
建設工事の「未払金」であると推測されます。
しかし内容を調べてみたら、決算期末以後に支払う予定の法人税、住民税や事業税であった場合は、流動資産の「未払法人税等」に計上します。
(5)「長期借入金」として計上されている金額があるとき
建設工事についての「長期借入金」であると推測されます。
しかし内容を調べてみたら、リース資産についての未払いの金額であったときは、決算期後1年以内に返済されることになっている場合は流動資産の「リース資産」に計上し、決算期後1年以内に返済されない場合は固定負債の「リース債務」に計上します。
損益計算書(建設業が主たる業務である会社の税務申告書)
(6)「租税公課」として計上されている金額があるとき
販売費及び一般管理費の「租税公課」であると推測されます。
しかし内容を調べてみたら、法人税、住民税や事業税が含まれているときは、その金額についてのみ「法人税、住民税及び事業税」に計上し、固定資産税等の租税公課に該当する金額は「租税公課」に残します。
(7)「雑収入」として計上されている金額があるとき
営業外収益の「雑収入」であると推測されます。
しかし内容を調べてみたら、重要な臨時の保険金収入が含まれていたときは、その金額についてのみ特別利益のその他に計上するか、「保険金収入」として営業外収益に別立にし、その他の営業外収益科目に属さない収益のみ「雑収入」に残します。
(8)営業外費用に「支払保証料」として計上されている金額があるとき
そのまま営業外費用として処理しますが、内容を調べてみたら、「公共工事の受注に際し、前受金を受領するために前払保証会社に対して支払った前受金保証料」が含まれていた場合は、その金額は営業外費用の「支払利息」に計上します。
(9)「支払利息割引料」として計上されている金額があるとき
そのまま「支払利息」に計上しましが、内容を調べてみたら、その中に「手形割引料」が含まれている場合は、その金額が営業外費用の10分の1以下の場合は営業外費用の「その他」に計上し、その金額が営業外費用の10分の1を超えていた場合は営業外費用に「手形売却損