平成28年6月1日より、建設業法改正により、現在28種類に区分されている建設業許可の業種区分に「解体工事業」が新設されました。
これまでは(平成28年6月1日以前)解体工事業は「とび・土工工事業」の業種区分に含まれており、請負金額が500万円以上になる場合には原則として、とび・土工工事業の許可(一式工事の場合は、建築業許可又は土木業許可)にて請け負うことが出来ましたが、今後は1件500万円以上の解体工事を行う場合はこの新設された「解体工事業」の許可を取得することが必要となります。
ただし、経過措置として3年間(平成31年6月まで)は、既存の「とび・土工工事業」の技術者を配置しても解体工事の施工が可能としています。よってこの経過措置3年間は、新しい業種区分である解体工事業の許可を受けなくても、改正前から既に「とび・土工工事業」の許可を有していた者は解体工事業を続けることができます。
よって、既に「とび土工工事業」を取得の業者で今後も解体工事を行おうとする場合、経過措置3年以内を目安に新たに「解体工事業」の許可を業種追加申請にて取得する必要が出てくるでしょう。
またこれから建設業の許可を取得する場合で、とび土工工事と解体工事を行おうとする場合は「とび土工工事」「解体工事業」のそれぞれ2業種を取得する必要があります。
尚、登録解体工事業者の制度はそのまま残ります。こちらは請負金額500万円未満の解体工事に限定して適用されるもので、工事を行う地域ごとに管轄する府県の登録が必要となります。
「解体工事業」の技術者要件
監理技術者の資格等
次のいずれかの資格等を有する者
- 1級土木施工管理技士(※)
- 1級建築施工管理技士(※)
- 技術士(建設部門又は総合技術管理部門(建設))(※)
- 主任技術者の要件を満たす者のうち、元請として4,500万円以上の解体工事に関し2年以上の指導監督的な実務経験を有する者
主任技術者の資格等
次のいずれかの資格等を有する者
- 監理技術者の資格のいずれか
- 2級土木施工管理技士(土木)(※)
- 2級建築施工管理技士(建築又は躯体)(※)
- とび技能士(1級)
- とび技能士(2級)合格後、解体工事に関し3年以上の実務経験を有する者
- 登録解体工事試験
- 大卒(指定学科)3年以上、高卒(指定学科)5年以上、その他10年以上の実務経験
- 土木工事業及び解体工事業に係る建設工事に関し12年以上の実務の経験を有する者のうち、解体工事業に係る建設工事に関し8年を超える実務の経験を有する者
- 建築工事業及び解体工事業に係る建設工事に関し12年以上の実務の経験を有する者のうち、解体工事業に係る建設工事に関し8年を超える実務の経験を有する者
- とび・土工工事業及び解体工事業に係る建設工事に関し12年以上の実務の経験を有する者のうち、解体工事業に係る建設工事に関し8年を超える実務の経験を有する者
<注意>上記(※)平成27年度までの合格者に対しては、解体工事に関する実務経験1年以上又は登録解体工事講習の受講が必要。
およそ以上となりますが、既にとび土工工事業の許可を解体工事の実績はゼロでとび土工工事業の実務経験10年のみで取得した場合においての解体工事業の業種追加申請の取扱い、経営事項審査における完成工事高や技術職員の取扱いなど、今後この改正によって検討していかなければならない事案が多く出てくると思われます。